2024年04月04日

映像端子のイロイロ


今回のテーマはゲーム機からディスプレイに映像を伝達する際に必ず接続しなければならない「映像端子」です。
一口に映像端子といってもアナログとデジタル、新しいものから今ではあまり使われなくなった古いものまで様々な種類があります。
主だったものの外観や特徴などを紹介していきたいと思います。


・コンポジット端子

RCA端子、ピン端子とも呼ばれます。
映像に必要な明るさと色の信号(色輝度信号(Y)、色信号(C))を併せてで伝送するのでコンポジット(複合)端子という名称になっています。
昔の家庭用ゲーム機やビデオデッキ等に使用されているもので、黄・赤・白の3本ケーブルになじみのある方も多いのではないでしょうか。
黄色の端子がアナログ映像信号用で赤と白はそれぞれアナログステレオ音声の右と左になります。
1本のケーブルなので接続が容易な反面、信号が干渉を受けるために画質が悪いというデメリットがあります。

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・S端子

上記のコンポジット映像信号の輝度信号(Y)、色信号(C)を分けて伝送することにより映像劣化を抑え、高画質になります。
SはSeparate(セパレート/分離)の略。
画角(アスペクト比)信号を同時に伝送するよう拡張したS1端子・S2端子といったものも策定されています。

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・RGB21ピン

1990年代頃のPCや家庭用ゲーム機に採用されていたアナログ映像とアナログ音声を伝送する端子です。
フランスで規格化された「SCART端子」というものと同一形状をしていますが、一部仕様が異なっている為に呼称が違っています。
色信号を合わせる事なくR/G/Bを個別に伝送するので色のにじみが少なく、当時のゲーマーからは最高画質として人気を博しました。
ですがその後はD端子やVGA端子に置き換わっていき、現在では見かける事はほとんどありません。

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・コンポーネント端子

アナログハイビジョンの高精細な映像を伝送する為に1996年登場した端子で、映像に必要な明るさと色の信号を3つ(輝度信号(Y)、式差信号(Pb/Cb)、式差信号(Pr/Cr))に分けて伝送します。
高解像度の映像を少ない劣化で伝送する事ができますが、映像信号だけで3本のケーブルを接続しなければなりません。
名前の似ているコンポジット端子とは全く別のもので、端子の色は緑/青/赤です。

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・D端子

1999年に策定された映像機器のアナログ映像信号を伝送する為の日本独自の規格です。
そう!D端子のDはデジタルの略ではないのです。端子を縦に見ると「D」の形に似てる事から名付けられたそうです。
プレステ2に採用されて以降様々な家庭用ゲーム機に使われているので知っている方も多いかと思います。
コンポーネント端子が3本のケーブルを使っていたのに対し、こちらは1本にまとめて、さらに画角(アスペクト比)信号も伝送する事ができます。
D端子は映像信号の種類によってD1・D2・D3・D4・D5という規格が規定されていて、D5においてはいわゆるフルHD(1920×1080ピクセル)の映像を伝送する事ができます。

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・VGA端子

D-Sub15Pin、アナログRGB端子とも呼ばれます。
VGAとは1987年にIBM社が策定した「Video Graphics Array」という規格の略です。
映像のみ伝送可能で音声の伝送はできない為、別途音声用ケーブルを接続する必要があります。
1990年代から2000年代にかけてPCの映像端子として普及しました。
2010年にはIntel社、AMD社がVGAへの対応を終了するとしましたが、現在でも法人向けPC等にはアナログ出力として使用される事があります。
業務用ゲーム機でもよく目にするスタンダードな映像端子と言えるでしょう。

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・DVI端子

「Digital Visual Interface」の略称で、その名の通り映像をデジタル伝送する為の端子です。
無圧縮のデータを伝送できるようになった為、高画質・高解像度の映像を映す事ができます。
DVI端子には複数の規格があり、デジタル伝送だけだなくアナログ伝送にも対応したものを「DVI-I」、デジタル伝送だけに対応したものを「DVI-D」と呼びます。
また、対応する解像度によっても分類があって1920×1200ピクセルまでの映像に対応したシングルリンクと2560×1600ピクセルまで対応するデュアルリンクがあります。
それぞれコネクタのピン数が異なっているので外観で判別できます。
VGA端子同様、2010年にIntel社、AMD社が対応終了を宣言しており現在ではHDMI端子に置き換わってきています。

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・HDMI端子

HDMIとは「High Definition Multimedia Interface」の略称です。
2002年、DVIを基にソニーやパナソニック等7社がデジタル家電向けに策定した規格です。
無圧縮デジタル伝送による高品位な映像・音声に加え、機器制御の信号も含めて1本のケーブルで接続が完了する利便性も持ち合わせてます。
民生品においては2024年現在、最も普及したスタンダードな映像端子と言えます。
HDMIは年々アップデートを重ねて機能や帯域を拡大してきました。
初期のHDMI1.0では1920×1080ピクセルだった最大解像度は最新(HDMI2.1)では8K(7680×4320ピクセル)まで拡張され全く別物といって良い程進化しています。
この為、接続の際に適切なケーブルを選ばないと機器の性能を生かせない場合がありますので注意が必要となります。
上位のバージョンには所謂「下位互換性」がありますので最新バージョンのケーブルを使えば間違いありません。
ゲーム機においては家庭用のPS3が最初に搭載し、その後は業務用も含めて多くの機種に使用されています。

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HDMI端子とHDMIのロゴマーク




・DP

「Display Port」(ディスプレイポート)の略です。
2006年にPC関連の標準化団体「VESA」がDVIの後継として策定した規格です。
PC用のインターフェイスなのでテレビや家庭用ゲーム機などには使用されていません。
策定の当初から高解像度・高リフレッシュレート(1秒間に映像を書き換える回数)での使用を視野に入れていた事もあって、現状で最も性能の高い規格となっています。
最新規格のバージョンDP2.1では8k解像度での120Hz駆動、4k解像度では240Hzと圧倒的な伝送帯域を誇ります。
近年PCゲームでは高リフレッシュレートの需要が高くなっており、ヘビーゲーマーにおいてはDP接続一択といった状況になっています。

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DP端子とDPのロゴマーク




posted by TW管理人 at 17:37| Comment(0) | その他

2021年04月09日

マシン不具合と対処の事例〜WACCA編〜


久しぶりの投稿です。
すっかり暖かくなりましたがコロナの件もあってアミューズメント業界にとっての明るい話題はあまり耳にしませんね。
早く平穏な日々が戻ってくることを願うばかりです。

さて、今回はマシントラブルとその対処事例について紹介しようと思います。
不具合の出たマシンは先日アップデートがあったマーベラス社の音ゲー、「WACCA」です。

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不具合の症状は「360°タッチパネルのLED(コンンソールLED)右半分が常時青点灯になってしまう」というもの。
通常時はもちろん、テストモードで色々と試してみも右半分は青いまま。全く変化しません。

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テストモードで全消灯を指定しても・・・

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赤全点灯を指定しても右半分は青点灯のまま

そこでまずは外装を外して内部を確認します。
LED基板5枚で1組のユニットとなっているのでこれの場所を入れ替えて症状に変化がないかを確認していきます。

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何回か入れ替えてみると青点灯の場所に変化が出たので、さらに詳しく調べていきます。
すると不具合の原因が見えてきました。
LEDの制御信号はコンンソールLEDの真下(6時の場所)から入力されて、時計回りで次のLED基板に伝わります。

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360°パネル6時の位置から時計周りに信号伝達されます

この際、途中どこかのLEDに不良があるとそこから先へ正常に信号が伝達されない為に今回のような症状が出たという事のようです。

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マル印のLED(薄い青色に点灯)が不良

不良が出ているLED基板を1枚交換することで症状が改善します。

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また、もしも部品がすぐに交換できない場合でも不良が出ているLED基板を右下(5時〜6時の位置)の正常なものと交換する事で、症状がでる範囲を小さくする事ができます。ご参考までに。





posted by TW管理人 at 14:18| Comment(0) | 修理

2020年12月23日

電気のお話


今年もあと僅かとなりました。
新型コロナに翻弄されっぱなしの2020年でしたが、来年はなんとか早い段階で収束への道筋が見えてきてほしいものですね。

今回はゲーム機を動かすには必ず必要になる電気についてのお話です。

●電気は難しい?
私たちの周りは電気を使用するもので溢れています。ですがそもそも電気とは何か?と聞かれてすぐに答えられる人はあまり多くないと思います。
電気は目に見えない為、その存在を認識する事や現象の説明が難しい事が理由なのではないでしょうか。
専門的な知識ではなくても、基本的な部分を抑えておけばゲーム機の取り扱いに役立つことがありますので簡単に解説してみたいと思います。

●自由電子が電気のもと
我々の身の回りの物質は全て原子からできています。原子は原子核とマイナスの性質を持つ電子から構成されていて、原子核はプラスの性質を持つ陽子と電気的性質を持たない中性子でできています。
1つの原子が持つ陽子と電子の数は同じ数なのプラスとマイナスでつり合いがとれて原子自体は電気を帯びていません。

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原子は原子核と電子から、原子核は陽子と中性子から構成されます

ある種の物質は原子核の一番外をまわっている電子が原子核の軌道から外れやすく、この原子核軌道から飛び出した電子のことを自由電子と呼びます。この自由電子が電気のもとなのです。

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自由電子を沢山持っている物質をプラス極とマイナス極で挟み、電圧をかけるとマイナスの性質を持つ自由電子はプラス極に引かれて一斉に動きます。この自由電子の動きが「電流」です。

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金属のように電気をよく流す物質は多くの自由電子を持っていて、このようなものを「導体」といいます。逆にプラスチックなどは自由電子をほとんど持っていない為電気が流れません。このような物質を「不導体(絶縁体)」といいます。

●電圧・電流・抵抗について
電気の話には必ず電圧・電流・抵抗という単語が登場します。
ですが、先程お話した通り電気は目に見えませんので電圧とか電流といってもいまいちピンとこない人も多いかもしれません。
これらの関係は水の流れに例えると分かりやすいと思います。

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水は高い所から低い所に流れ、高低差が大きい程勢いを増します。電気でいうとこの高低差が電圧にあたり、流れる水の量が電流です。水路が狭いと水は流れにくくなり、広ければ沢山の水が流れることができます。この水路の幅が電気抵抗にあたります。
高低差(電圧)が大きく、水路が広い(電気抵抗が少ない)程、水(電流)は沢山流れ、水路が狭く(電気抵抗が大きい)高低差(電圧)が小さければ流れる水(電流)は少ないという訳です。

●オームの法則
電圧・電流・抵抗の関係を表した公式がオームの法則です。
中学校で習ったのを覚えている方も多いと思います。公式は下記のようになります。

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Eは電圧、Iは電流、Rは抵抗を表し、それぞれの単位はV(ボルト)、A(アンペア)、Ω(オーム)です。
E=I×R」、つまり電流と抵抗の値を掛ければ電圧の値を知ることができます。
また、「R=E/I」「I=E/R」 と置き換えることもできます。

消費電力は電圧と電流の積で求めることができます。単位はワットです。

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例として下図のような乾電池と電球を使った回路で考えてみましょう。

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回路図

電池の電圧が1.5V、電球の抵抗が5Ωだとすると電流はどれだけ流れるでしょうか。
電流を求める式は「I=E/R」なのでこれに数字を当てはめてみます。するとI=1.5÷5という式になりますので、1.5÷5=0.3Aがこの回路に流れる電流の値になることが分かります。

また、電力は電圧と電流の積で求めることができますので1.5V×0.3A=0.45Wが消費する電力です。

次に電球が2つの場合を考えてみます。
抵抗が2つ以上ある時は回路の「合成抵抗」を求める必要があります。合成抵抗は「直列接続」と「並列接続」で計算が異なります。

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合成抵抗を求める公式

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直列接続

直列接続時はR=R1+R2+R3・・・と全ての抵抗値を足すだけなので簡単です。上の図ではR=5Ω+5Ω=10Ωとなります。
流れる電流は1.5÷10=0.15Aです。

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並列接続

並列接続での合成抵抗Rを求める式は1/R=1/R1+1/R2+1/R3・・・となります。上の図では
1/R=1/5Ω+1/5Ω=2/5ΩですのでR=2.5Ωとなります。
流れる電流は1.5÷2.5=0.6Aです。

●直流と交流
電気の流れ方には「直流」と「交流」という2つの種類があります。
電池やACアダプタ等から得られる電気が直流で、電気の流れの向きや大きさ、勢いが変化せずに常に一定
を保ちます。
これに対して家庭のコンセントで使用される交流は一定のリズムで電気の向きや大きさが変動しています。この変動を表した波を正弦波(サイン波)と呼びます。

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直流電源である電池は使用する際にプラスとマイナスの向きを間違えると機器が正常に作動しませんが、コンセントはプラグどちら向きでも使用する事ができます。プラスとマイナスが常に入れ替わる交流電源だからです。(厳密に言うと向きがあるのですがここでは割愛します)

交流は一定のリズムで電気の向きや大きさが変化すると説明しましたが、このリズムを1秒間に何回繰り返すか表したものを周波数と言います。単位はHz(ヘルツ)になります。
また、リズムのことを周期といい、1秒を周波数で割った時間を1周期として表すことができます。
(例1:1秒÷50Hz=0.02秒 例2:1秒÷60Hz=0.0166・・・秒)

ちなみに、コンセントの周波数は、関東から東の地域(東日本)は 50Hz、関東より西の地域(西日本)では 60Hz と日本国内で2つの周波数が混在しています。
これは電気が使われるようになった明治時代、東京が50Hzのドイツ製発電機、大阪が60Hzのアメリカ製発電機を導入したことが由来です。

交流は常に変動しているので、直流と同じ電力を発生する値を表すために実効値というものがあります。
家庭用電源では正弦波形の最大値である141Vを√2で割った数値=100Vが実効値となります。

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今回は電気の基礎知識について少し解説しましたが如何でしたでしょうか。
次回以降では、ゲーム機のメンテナンスで役立つでテスターの使用方法等も説明したいと思います。


posted by TW管理人 at 16:22| Comment(0) | 電気